野口種苗ロゴ

「沖縄島オクラ」へのクレームについて

絵袋に描かれている丸莢「沖縄島オクラ」の姿
沖縄の種苗会社の絵袋(左)と採種法等を書いた当店の絵袋(画像は流用させていただきました)

 発端は、2011年7月7日(木)の夜8時37分に届いた下記のメールでした。

今年、農園用に島オクラの種を購入いたしましたNと申します。
畑に直播きし(36mベッド5本分)、今週やっと収穫が始まりました。

しかし、莢が丸いものは半数以下で、5角形、6角形、8角形、のものが半数以上です。色も10%程のものはうすい緑(白といってもいいです)であまりにも不揃いです。

今年の家の農園の主力商品はナスとオクラでしたので大打撃を受けております。固定種であるはずの島オクラがこうなっていると言うことは種取りの圃場で大規模に交雑してしまっているのではありませんか?
私は「島オクラ」を購入したかったのであり、「オクラの雑種」が欲しかったわけではありません。

家庭菜園であれば笑って済む話かもしれませんが、農園を経営するものとしては今期の経営にも大きく影響いたします。
以下の点について誠意ある解答をお願いいたします。

1、今回の種の不良の原因について

2、この件についてどのように対応していただけるのか

私が購入した種だけがこのような状況であったとは考えにくく、同じような被害を受けている人が他にもいるはずです。その皆さんについてもできるだけ対応を検討していただければと思います。

///////////////////
横浜市
N G
///////////////////

 だから「うちのタネのような固定種は家庭菜園用で、揃いが優先する出荷用には向かない」って言っているのに・・・「自家採種してる人だったら、高い楊貴妃なんてタネを買わなくても白オクラが出たのなら喜ぶだろうけどなぁ」と、今さら言っても、後の祭りです。この方の注文履歴を見ると、昨年「沖縄島オクラ」の小袋を1袋送っていて、今年はなんと16袋の注文が3/2入り、換算した3.2dlを3/7に送っています。
 この人の畑に行って、現場の状況を確認する必要がありますが、その前に同じロットのタネに、同じように異形果が多く出ているのか、確認する必要があると思い、発送日である3/7の近くで「沖縄島オクラ」を送った関東地方のお客さまを抜き出し、手分けして訪問しようかと、スタッフ会議を行いました。すると、
「沖縄島オクラ」を栽培したことがあるスタッフが「八丈オクラに比べて島オクラは角張っている。もしかすると勘違いかもしれないから、まず原物を送ってもらうべきではないか」と言いました。 そこで、7月8日(金)の午後1時09分に、下記のような返信メールを送りました。

N 様

野口種苗の野口 勲です。
ご連絡ありがとうございます。

オクラは自家受粉性植物のため、ほとんど交雑いたしません。
従って、交雑によって品種がブレるということは考えにくいので、「島オクラ」の中から異品種が出たとすれば、採種現場のインドか、委託採種元の沖縄の種苗会社に輸入された後に、異品種のタネが混入した結果だと思われます。

仕入先である沖縄の種苗会社にその点確認したいと思いますが、事実関係をはっきりしておく必要がありますので、異品種が混入して様々な形状が出た現物のオクラを、判別可能な適量ずつ送料着払いで、私どもにお送りいただけないでしょうか?
その際、今後のため、青果としての販売代金もご請求ください。
「異品種混入」の疑いがはっきりした時点で、N様の畑にお伺いして、草姿の違いなど異品種と確認できる証拠写真を撮影し、採種元に原因究明と、しかるべき対応を求めたいと思います。

またその間、他のお客様にも問い合せ、同様の混入が起きていないか確認いたします。(今年度のロットは現在までに340人の方に発送しておりますが、まだどなたからも同様のお問い合せは入っておりません)

念のため私が監修した本『ご当地ふるさと野菜の育て方』から、「沖縄島オクラ」と「八丈オクラ」のページを添付いたしました。
共同監修者の金子美登さんが「島オクラ」の解説に書いておりますように、「八丈オクラ」に比べ、「島オクラ」は、やや角ばっていて、特に小さいうちは株によっては「五角オクラ」等と誤認しがちな姿のものも散見されるようです。(写真参照)
「白オクラ」類似のものが出た原因はわかりませんが、一口に同じ丸莢オクラと言っても、「沖縄島オクラ」という品種は、「八丈オクラ」より角ばっているということはご了解ください。

以上取り急ぎのお返事と、当該オクラ青果発送のお願いまで。

 待つことしばし。やがて7月12日(火)に着払い宅急便で、件のオクラが送られてきました。(請求書は付いていませんでした)

 この果実を見て仰天しました。これは「一部に異品種が混入した」などという生易しいレベルのものではありません。
 まったくテンデンバラバラで、とても「島オクラという品種」など言うもおこがましいシロモノです。タネ屋がこんなものを売ったとしたらそれこそ「お笑いぐさ」です。どうして今年こんなタネを売ってしまったのか、改めて仕入先に問い合せようと、沖縄の種苗会社のS社長に、オクラの画像を添付して「沖縄島オクラで発生した異形果について」という件名のメールを、7月12日(火)午後2時03分に送信しました。

F種苗 S様

埼玉県飯能市の野口種苗研究所 野口 勲と申します。いつも大変お世話になっております。
早速ですが、今春、御社から購入させていただきました「沖縄島オクラ」の種子に関しまして、当店より小袋16袋分(3.2dl)ご購入いただいたお客様から、以下のようなお問い合せをいただきました。
===最初のメールの引用につき略===
これにつきまして、以下のように返信しましたところ、本日、現物が届きました。
===2番目のメールの引用につき略===
 さて、本日届いた「島オクラ」の現物を見たところ、確かに色も形もバラバラで、これをすべて同一品種の多様性の現れと言い切るのは、あまりに無理があると思いました。(添付写真参照)そこで、お伺いいたします。

1.写真に写っている12本のオクラのうち、本来の「島オクラ」は、どれでしょうか?
2.これだけの異形果が出るということは、「沖縄島オクラ」では通常のことなのでしょうか?
(お客様は昨年小袋1袋分=20ml=購入されていますが、オクラ現物に付けられていたお手紙によると「前回はこのような果実は1本もありませんでした」ということです)
3.これだけさまざまな形状のオクラが出た原因について、お心当たりのことをお教えいただきたく存じます。
4.私どもでも「八丈オクラ」(添付写真中央の丸莢が酷似しています)を採種している関係上、「沖縄島オクラ」は発芽試験するだけで、栽培試験を行わず、お送りいただいた種子をそのまま袋詰めして販売しておりますが、販売責任というものがありますので、お客様から要望があった場合は、損害賠償の要求に応じるつもりでおりますが、御社でも採種元として応分のご負担をされるお気持ちがおありでしょうか?

以上について、早急にお返事賜りたく存じます。
また社内ご担当者様にしかるべくご指示いただきますよう、お願い申し上げます。
なお、このお問い合せメールは、お客様にも「Cc」で同送しておりますことを付記いたします。

 同日(7/12)午後7時12分、F種苗S社長より返事が入りました。

 

野口さま

お世話になっています。
画像を拝見させていただきました。
感想としては、島オクラとはまったく別物と言えます。
弊社の島オクラは形、色ともにバラつきが極めて低く好評をいただいています。

弊社の島オクラのロットは一つだけです。(採種圃場も一つです)
そのロットは約1,700リットル入荷、2010年より販売しています。
このロットはもう残りわずかなので秋には新ロットが入荷する予定です。
販売先としては農家〜種苗会社など多岐にわたります。
弊社では小売売店があり、その種子を農家さんへも販売しています。
その中で、バラつきに関するクレームはすべての販売先で今までゼロです。
当ロットに限らず今まで島オクラの種子を販売して初めてのことです。

弊社で扱っているオクラはカタログに載っているタイプしかありません。
販売目的はもちろん、サンプルでも6〜8角、白に近いオクラの入荷はありません。
それらのタイプの種子が弊社で存在しないので間違って袋に入ることは可能性として低いというよりもゼロです。

もう一度、確認をされたほうが良いと思います。
例えば、以前にオクラを栽培し、こぼれ種が育った可能性あるいは野口様以外からの種子の可能性です。
弊社の島オクラであれば、あり得ないことなので念を入れてご確認ください。

よろしくお願いします。

うーむ。あれだけ大量に販売しているのだから、インドでも何軒か採種農家があって、ロット違いが複数存在していて、その中の一つがこのような混入事件を引き起こしたのではないかと想像していたのだが、すべてのロットは一つで、昨年のタネも今年のタネも同一だったとすると、「昨年のタネは良かったけれど、今年のタネは変だ」というN氏のクレームそのものが成立しないことになってしまう。
そんなことを考えながらS社長のメールを読んでいて、気がつくとS社長の後に、N氏からのメールが届いていた。

野口 勲 様

以下のCcのメールを当方でも確認いたしました。
迅速な対応、有り難うございます。今後の交渉の経過も逐次ご連絡いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。


===以下S社長宛文面の引用につき略===

7月13日(水)午前11時58分 野口発。

S 様
N 様

野口種苗研究所の野口 勲です。
昨夜は、早速のお返事ありがとうございました。
昨日のメール同様、「Cc」でお二人に同送することをお許しください。

下記(既出により引用省略)のS様からのお返事で、今年度流通しているロットは一つだけで、昨年と同一ということ、また、卸先からも小売りの農家からも、同様のクレームは届いていないということ、これは私どもでも今現在まったく同様ですので、了承いたしました。
採種圃場でも、御社の倉庫でも、混入があり得ないとすると、混入が起こったのは、仕入れた当店か、お客様の手元に届いた後ということになる訳ですが、当店の場合、採種品である「八丈オクラ」に混入したら取り返しがつかなくなりますので、オクラ種子の管理は厳重にしております。何より仕入品の五角オクラ「クレムソン」には種子消毒剤が付着していますし、今年から取扱いを開始した「白オクラ/楊貴妃」は、元詰小袋なので、裸種子での取扱いは無く、混入は不可能です。
すると残る可能性は、S様がおっしゃるようにお客様であるN様の手元に届いてからということになるわけですが、発端から以下(前出)に続く成り行きからして、N様に過失があったということをN様が認めるとは、とても思えません。

このままでは水掛け論に終始してしまい、いつまで経っても結論が出ませんので、遅ればせながら当店でも「沖縄島オクラ」を蒔いてみます。ただ、結果が出るのは数カ月先になってしまいますので、その間、当店のホームページ上にこれまでの経過を掲載し、うちからタネを買われた残る339人の方に呼びかけて、それぞれのお客様の畑での結果を報告していただくようにしたいと思いましたが、お二方ともご異存ございませんでしょうか?
もちろん、会社名や個人名は伏せて、余計なご迷惑がかからないように配慮いたします。
私どものオンラインショップのお客様は、大半がリピーターで、現在は秋種の入荷を確認するために、定期的にホームページをチェックされている時期なので、10件以上のご報告が必ず集まると確信しております。
今後のために、起こった事実を確認する必要がありますので、ご同意いただけますよう、重ねてお願い申し上げます。

p.s.N様
先のメールでN様の畑に参上して状況を確認したいと申し上げましたが、青果をお送りいただいて収穫物の状況がわかりましたので、お伺いするのは、しばらく延期します。
今はうちからお求めになった他の方で同様の事態が発生しているのかいないのか、その確認に全力を傾注したいと思っております。

 7月13日(水)午後6時46分 F種苗S社長発

野口さま

F種苗のSです。
お世話になっています。

ホームページへの掲載につきまして
問題無く同意します。
他のお客様からの情報をもとに
早く解決するといいですね。

よろしくお願いします。

 7月13日(水)午後8時15分 野口発

F種苗 S様(Cc:N様)

早速のご了解ありがとうございます。
では、N様のご了解をいただき次第、ホームページに掲載いたしますよう準備いたします。

 7月13日(水)午後8時55分 N氏発

野口 勲 様

Nです。
ホームページへの掲載は全く問題がありませんので同意いたします。

ただし、以下の文章ですが、大変不愉快な思いをいたしました。

>>S様がおっしゃるようにお客様であるN様の手元に届いてからということになるわけですが、発端から以下に続く
>>成り行きからして、N様に過失があったということをN様が認めるとは、とても思えません。

私に過失があったことを認めるとは思えない?
どういう意味でしょうか。
私は「野口種苗研究所」から購入した種(小袋には入れず、ジップロックのような袋でしたね)を開封し、一晩水につけてから畑に直播きしました。
私が栽培している場所は今年新しく借りた土地ですが、昨年までは家庭菜園だったので広範囲に(36m×9.6m)オクラを栽培していたはずもありません。
少し、種が足りなかったので、5株分だけ他の会社の種を播きましたがその5株はまともな「島オクラ」が生えています。

 ええっ!? 今まで「他の会社の種も入ってる」なんて、一言も言ってなかったじゃ〜ないですか〜。

(上記の続き)
>>このままでは水掛け論に終始してしまい、いつまで経っても結論が出ませんので

水掛け論になるのであれば、とことん争っても結構です。
当方での種の混入はあり得ず、だれにも過失がないとするならば「環境変異」だというのでしょうか?
また異形のオクラのなかのいくつかは明らかに食用には適さない剛毛が果実に生えており、国内で栽培されているどのようなオクラの品種とも異なる形質だと思います。
そのような、国内で販売されていない種が一般の家庭で混入することがあり得ますか?お送りした青果の中にはたまたま入ってなかったかもしれませんが、万が一こちらに責任があると判断されるのであれば、圃場にてご確認の上でお願いいたします。

本来は、食用にできない形質の株は早く切り倒してしまいたいのですが、念のため栽培を続けておきます。
若干感情的な文章でもうしわけありませんが、率直な感想を申し上げました。

N G

 7月14日(木)午後1時14分 野口発

N 様(Cc:S社長)

野口です。

HPへのご同意ありがとうございました。
では、本日中にアップロードできるよう、作業を開始いたします。

不愉快な思いをさせましたこと、誠に申し訳ございません。
最初のメール以後一貫して当店から購入された「タネが悪い」と主張されており、その他の可能性を考慮する姿勢がみられませんでしたので、このように書かせていただきました。

小袋に入れず、ジップロックのようなポリ袋に入れてお送りしたのは、そのほうが単位価格が変わり、安くなるからです。
3/2のN様のご注文メール通り、「No.1155 島オクラ 300円 × 16」で発送すると、当然価格が4800円となります。しかし小袋一袋の詰量20ml×16で計算すると、3.2dlとなり、1dl価格に直してお送りすれば大幅に値引きできます。
当店ではお客様のご負担を少なくするため、大量注文の場合は日常的にこうした換算をしてお送りしています。
(もちろんどなたかの代表注文で、人数分の小袋が必要といった場合は、ご注文通りの袋数でお送りしております)
お客様が必要なのは「袋」でなく、中身の「タネ」だからという信念で行っていることですが、袋の形状がタネに不審をもたれる原因になったとしたら残念です。

36m ×9.6m の畑に畝間60cm、株間30cmでオクラのタネを蒔くと、1,920株になります。ご注文いただいた数量は 3.2dl=約3,200粒です。2粒ずつ蒔くには足りない量なので、足りない分は1粒蒔きされたのでしょうか?
だとしたら、欠株が5株だけというのは、硬実種子のオクラにしては、信じられないほど優秀な発芽率と言わざるを得ません。

欠株に蒔かれた「他の会社」のタネというのは、どんな会社の何という品種のタネでしょうか?
固定種の時代のタネ屋には昔から「本場信仰」といったものがあり、「沖縄島オクラ」なら沖縄のタネ屋から取り寄せるのが当たり前でした。他所の誰よりもその品種について知悉していますから、例え海外採種になっても、品種の特徴を押さえた種採りをしているに違いないと信じられるからです。
ですから、日本中のタネ屋が、本場沖縄のF種苗さんからタネを仕入れて販売しているはずです。同じF種苗様から仕入れた同一ロットのタネで、うちから出たものが異品種だらけで、他の会社から購入したタネは「まともな島オクラだった」ということは、とても信じられません。タネの出所をお教えください。

最後に、環境変異で今回のようなさまざまな異形果が出ることは、絶対にありません。最初にお返事したように、オクラは自家受粉でタネを付けますから、ほとんど交雑しません。(完全ではなく稀に虫媒により交雑することもありますので、ほとんどと申しておきます。ただこれも「異品種と30m離せば交雑しない」というのが定説なので、先にご紹介した『ご当地ふるさと野菜の育て方』の中で、私もそのように書いております)
今回のように、多種多様なオクラが同一の畑で収穫されるためには、多種多様な品種のタネが蒔かれたことしか考えられないのです。だからどこでタネが混入したのか、その謎を突き止めようとしているのです。
もしF種苗様の段階で今回のような異品種混入が起こったとしたら、F種苗様は日本中の種苗会社から取引を停止されてしまうでしょう。当店もそのような管理のずさんな会社から以後仕入れたいとは思いません。

なお「いくつかは明らかに食用には適さない剛毛が果実に生えて」いるオクラというのは、たぶん「Star of David=ダビデの星」という品種です。四国ではけっこう作られているそうで、数年前うちでバーベキューをした際、高知の人からもらったという果実を持参した人がいたので、食べたことがあります。確かに剛毛があるので通常の日本の食べ方のように茹でて食べるのには適しませんが、鉄板で焼いて剛毛が口に残らないようにして食べるとけっこう美味でした。ですから決して「国内で栽培されていない」品種と言い切ることはできません。オクラマニアだったら普通に持っている品種だと思います。見た目がグロテスクなので、うちで販売する気には今のところなっておりませんが。

さて長々書きましたこのメールを送信したら、食事後、件のHP作成に取りかかります。何点かまだ疑問点がありますので、お尋ねいたしました。真相究明のため、お返事いただけましたら幸甚です。

 7月14日(木)午後7時頃 野口種苗HPトップに「沖縄島オクラ」種子購入者に「収穫物写真提供のお願い」を掲載。

 7月14日(木)午後9時55分 N氏発

野口 勲様
色々と当方の言葉が足りず、申し訳ありません。
気になったことをいくつか挙げさせてください。

>不愉快な思いをさせましたこと、誠に申し訳ございません。
>最初のメール以後一貫して当店から購入された「タネが悪い」と種著去れており、その他の可能性を
>考慮する姿勢がみられませんでしたので、このように書かせていただきました。

その他の理由について考慮する姿勢が見られないとのことですが、

●私の家にあったオクラの種子は今回購入したものと、3年ほど前に自分の家庭菜園用購入したどこかのスーパーで買ったインチキくさい「島オクラ」の種子の残り(20粒)だけでした。

 あれ? 現物オクラに付いていた手紙では、昨年のうちの小袋以来「島オクラの栽培は2回目です」と言ってたはずだが?

●今年のオクラの圃場は長さが約36m、幅は間に軽トラック用の通路も挟んでいますので実質は60cmの畝が6本弱(畑が四角くないので)です。種は4〜6粒播いています。

●発芽後に欠株が出てまき直したのではなく、ベッドの途中で種が足りなくなったので3年前くらいの残り種を播き足しました。(欠株は全体の2%程の印象です)

上記のような状況でどのようなことを考慮すればよかったのでしょうか?今後のためにも教えていただけたら幸いです。

 「クレームをつけるためには、その他の原因検証や正確な状況説明ができていないのではないか」としか言えません。
 この後、タネをポリ袋に入れて送った件の当方のメールの引用がありますが、重複するので省略します。

この件については私はまったく気にしておりません。袋ではなく中身が必要だと私も考えています。私が申し上げたかったのは「他の会社から買ったものではないです」という確認のためだけです。他意はございません。

 発送記録が残っているのですから、タネを購入していただいたことは確認しております。知りたいのは、今回の異形果がうちから出たタネに間違いないか(うちから出たタネが「蒔いたオクラのタネのすべて」と受け取れるようなことを最初に言っていたのはなぜか)ということです。「他社のタネ」なるものが突然出てきたり、昨年初めて「島オクラ」を栽培したはずなのに3年前の残りタネなるものが途中から飛び出してくるようでは、どこまで本当の話なのか、とても信じられなくなります。「島オクラの栽培は2回目です」と言ったのは、もしかして別の種類のオクラなら以前から栽培していた(そしてタネも保存していた)ということではありませんか?

「ダビデの星」については不勉強でした。全く聞いたこともありません。私の周囲にはオクラマニアもおりませんのでオクラと言えば5角形だと思っている人たちばかりです。私も以前はそう思っていましたが、丸莢のオクラを沖縄で食べて自分でも栽培してみようと思ったのです。
そんな環境にいる人間が(我が家は農家ではありませんし、私自身も3年前に就農し、独立して新規就農者として農園を営むことができたのは今年の4月です)どうして多種多様な種子を混入させることができるのでしょうか?

 しかし、現実にNさんの畑に生えているわけです。タネ屋は、販売するタネに異品種が混入したら命取りですから、混じって見分けがつかなくなるようなタネを、同時に取り扱うようなことはいたしません。もしインドに複数の採種農家がいて、どこかの農家で混じったのだとしたら、今年うちから「島オクラ」のタネを買った人の中に、Nさんの所と同じような結果が出ている人がきっといるはずです。そういう人がもし一人もいなかったら、Nさんの所で混じったと結論づけざるを得ません。もし購入者がHPに気付かず誰からも連絡が来なかった場合は、ご迷惑でも顧客名簿に基づいてお電話したりお訪ねして、結果を確認したいと思っております。

私の目的は損害の賠償ではありません。真相が知りたいのです。オクラ畑の手入れをしているとやり場のない思いがこみ上げてくるのです。どうかよろしくお願いいたします。

N G

 現在は2011年7月16日(土)午後2時です。二日間かけてようやくこれまでの経過を記録し終えました。この後も、新しい情報が入り次第、記録を続けてまいります。くどくて申し訳ありませんが、今年春に当店から「沖縄島オクラ」のタネを購入された方がこのページを見ていらっしゃいましたら、末尾のメールアドレスまでぜひご連絡ください。「写真を撮って送ることはできないから、見に来い」というご連絡でもけっこうです。(遠方の場合、実際に行けるかどうかはわかりませんが・・・)

 7月17日(日)午前7時31分 待望の他のお客様からの「沖縄島オクラ」写真第一号がメール添付で届きました。
お客様のご了解をいただきましたので、メール本文といっしょに掲載いたします。(素敵なHPをお持ちの方です)

野口種苗 様

いつもお世話になっております。
沖縄島オクラの記事拝見しました。
2011年3月18日に1袋、2010年11月4日に3袋購入しました。
わたしのところでは問題はないようです。
写真添付いたします。
//////////////////////////////////////////////////
淡路島西洋野菜園
ブログ
//////////////////////////////////////////////////

7月24日(日)午前11時52分、奈良のMMさんから、島オクラの写真が届きました。(2011/4/2. 1袋ご注文。4/6発送)

すべて正常で順調に育ってます。
奈良県 M M

7月25日(月)午後9時36分、新潟のIYさんからいただいたメールです。(2011/4/23. 1袋ご注文。4/27発送)

今年はじめてチャレンジしてみましたが、今のところ種袋の写真の通りに
収穫できており大変美味しくいただいております。特に問題はないようです。
(とはいっても2株だけ栽培。それぞれ3本ずつの収穫ですが)
新潟県 I Y

7月28日(木)午後11時55分に京都府のTO様からいただいたメールです。(2011/4/13. 1袋ご注文。4/17発送)

貸し農園の家庭菜園で6株育てています。少し遅い種蒔きでしたので、ようやく収穫できました。何の問題もありません。
昨年までは五角オクラを栽培してましたが、今年初めて島オクラを栽培しました。
大きくなっても柔らかいので、大きくなってから収穫しました。大変美味しくいただきましたよ。
京都府 T O

8月3日(水)午後5時3分、愛知県のIT様からいただいたメールです。(2011/2/15. 1袋ご注文。2/17発送)
9月初めに日経から刊行予定の本『タネが危ない』の校正に追われていて、掲載が遅くなりました。

注文ページの備考欄に書きました島オクラです。
(確か野口種苗さんから購入したと思いますが、もし購入リストになかったら申し訳ありません。)
今日ちょうど少しだけ家にあったので添付してお送りします。
我が家の島オクラは特に問題無いように思います。
今後気付いたことがあれば、また連絡いたします。
愛知県 I T

 

またまた本の再校に手間取り、更新が遅れました。
この間、丸莢でない、沖縄島オクラらしくないものが出たというメールも寄せられはじめました。
最初は8月3日(水)午後9時52分に埼玉のHYさんからいただいたメールでした。(2011/5/29. 1袋ご注文。5/30発送)

家庭菜園で楽しんでいます。
今回、初なりのオクラが何故か白いのが出来ました。
さらに、角のあるのもあり、おかしいなと重いながらいました。
しかし、今日2本程収穫したものは丸く、そのうち1本は大きかったですがやわらかくおいしかったです。
現在、約30株ぐらい育てていますが、添付の白いのは今のところ1株でした。 詳細が必要でしたら、後日再送信します。

うーん。横浜のNGさん以外にも、うちからタネを買われた方の中に異形果が出た方がいらっしゃったのか・・・。
ただ、添付の写真が白オクラなのか色がはっきりしない。角オクラも出たというが、どんな割合だったのだろう?
そこで、とりあえず下記のメールを8月6日(土)午後3時35分に送信しました。

野口種苗の野口 勲です。ご連絡ありがとうございました。
9月初め刊行予定の本の校正(初校)を、週明けに入れないと間に合わないから、土曜までに出版社に戻すように言われ、数日間かかりっきりだったため、メールチェックもままなりませんでした。
また、僕が目を通せないため、ご注文の商品をまとめたものの、発送担当者も発送できず、保留にしてありました。かえすがえすご連絡が遅れて申し訳ありませんでした。
お写真いただきまして、島オクラの袋の中から白オクラが出たらしいこと了解いたしました。
初成りということですので、できましたら、今後、実った果実の中の異形果の割合(30株中の丸オクラ、角オクラ、白オクラのそれぞれの株数)と、それらを並べた写真も、お送りいただけないでしょうか。詳しい状況がわかり次第、HPにアップしたいと思います。
大変お手数をおかけいたしますので、今回8/3分のご注文商品は、無料でお送りさせていただきます。
また、本の方が一段落いたしましたら、近くですので、一度畑での様子も拝見したいと考えております。
お手数ですが、その時はご案内よろしくお願い申し上げます。

8月9日(火)午後8時27分、埼玉県HYさん発。

家庭菜園で楽しんでいる我輩ですが返信があり、事の詳細が判明いたしました。
請求書は送っていただきたく思います。
オクラの件は出来る範囲で協力させていただきます。
方法は、どの様にしたら良いのか具体的にわからないのですが出来ることは、
◆各オクラの株から出来た収穫時の状態を写真に撮り送信する事ぐらいです。
今後も良い種を守って頂ける事を念じています。H Y

8月11日(木)午後3時43分野口発→HY様宛

野口です。お返事遅くなりました。
今までお客様からお送りいただいた島オクラの写真は、異状のないものばかりだったのですが、ここ数日間で角オクラの写真など異常な実の写真も届いています。
できるだけ正確な情報を知りたいので、緑色で丸莢の本来の島オクラと、そうでない角や白が発生した割合を知りたいと思い、それがわかるような複数果実を並べて撮った写真をお送りいただけないかとお願いした次第です。
ぜひご協力のほど、お願い申し上げます。
本当にお手数をおかけいたしますので、商品代金はけっこうです。
HY様のお写真が届き次第、異形果が出たというご報告を、まとめて掲載したいと思っております。

8月13日(土)午後5時28分、埼玉県HYさん発。

今日、別の株から1本収穫してきました。遅かったので、硬くなってしまいました。緑色で丸い形状です。
当菜園では、蒔くのが遅かったので、現在複数並べることが出来ないことをお知らせします。H Y

8月10日(水)、お二人のお客様から沖縄島オクラ異形果のご報告をいただきました。
まず午前11時50分にメールをいただいた横浜市のDMさん。(2011/2/7. 1袋ご注文。2/7同日発送)

秋冬用のたねを注文しようとHome Pageを見ていて沖縄島オクラの件を読みメールしています。
家庭菜園ですので、被害というつもりはありませんが」、現状を報告させていただきます。
5月の連休前に2か所に4粒ずつ直播し、元気のよさそうなのを2株ずつ残しました。
計4株育てましたが、途中で1株育たなくなり、3株が残っています。
当初間引いた4株が丸さやだったのかどうかは今となっては何とも言えません。
この2か所3株は同じ畝の隣りどうしで植えています。(中略)
結果は添付写真の通りで、3種3株といった感じです。

左の二つは角さやでしかも、一番左は9角もあります。
葉の形状も全く違います。
切ってみると形状の違いは明らかです。
切ってから定規をあてたのでサイズは多少誤差がありますが、
左から順に肩から先端までが12cm、14cm、12cm、13cmです。
右二つの丸さやは、やわらかくておいしく食べられましたが、
左の二つは、切った瞬間からゴリゴリ感でこのサイズでは全く食べることはできませんでした。
F1種子ではないのでこんなこともあるのかなと思っていましたが、Home Pageを見て納得しました。
そのほかの野菜のタネは順調でした。

続いて8月11日(水)午後11時50分に、沖縄のTMさんからいただいたメールです。(2011/2/26. 1袋ご注文。2/28発送)

沖縄島オクラを購入したものです。
丸じゃないオクラができるのはどうしてだろう・・と思っていました。
昨日HPを見て、やっぱり気のせいではなかった!とメールしています。
オクラは丸では無いものの中で、細かい棘のようなものがあったりして明らかに舌触りも悪そうだし、まず食べようと思えませんでしたので引っこ抜いたものもあります。
友達にあげた種もあって、同じようなことを言っていました。
率にしたら半分くらいは丸ではなく、2割くらいが、棘オクラでした。

【総括】
年が変わった2012年夏も、この件に関するメールや添付写真をいただいています。
途中経過のまま終わらせてしまったので、初めてご覧になった方に改めて色々ご心配をおかけしています。申し訳ありません。
その中のお一人に8/11にお返事したメールを引用して、いったんこの件を手仕舞いにしたいと思います。

○○ 様
野口種苗の野口 勲です。
横浜の件の方からは、昨年秋、 「初めて借りた畑だったため、前の方が栽培して、こぼれたタネが生えたのかもしれません。お詫びに伺いたい」
という電話がありました。
「他のお客様からも『異常がある』というご連絡があり、うちでも遅まきしたので、結果を見ています。わざわざお越しにならなくてもけっこうです」
とお答えして一応の決着をみたようです。
(うちで播いた結果も、異常はありませんでした)
最後が電話でのやり取りだったので、余計な言葉を付け加えて記録を残すと、この方に迷惑をかけるかもしれないと思い、HPには載せられませんでした。
ご連絡本当にありがとうございました。
「異常果があった」と報告された方にお送りした日時が近接しているため、1リットル入りポリ袋で送られて来た十数袋のうち、どれかに問題のロットがあって、その袋から小分けしたモノが異常果発生の原因とも考えられるのだが、F種苗社長は「ロットは一つだけ」とおっしゃるし、確かに送られてきたポリ袋に表示されていたロット番号はどれも同一で、既にタネは発送済みだし、ポリ袋も捨ててしまっているので、これ以上検証の進めようがない。というわけで、いったん幕を閉じさせていただきます。[2012.8.25]

〒357-0067 埼玉県飯能市小瀬戸192-1 野口のタネ/野口種苗研究所 野口 勲
Tel.042-972-2478 Fax.042-972-7701  E-mail:tanet@noguchiseed.com


タネの話あれこれTOP  野口種苗目次